はじまりは政略結婚
「だから、あいつは卑怯だって言いたいんだ。自分の権力を振りかざして、やりたい放題。おかげで、求心力を失ったこっちの事務所は、大した仕事が取れずに、オレの復帰もいまいちなんだよ」

だんだん焦りの色を見せ始めた海里は、あぶら汗をかいている。

それにしても、こんなにカッコ悪い人だったっけ?

権力を振りかざしてって言っても、海里の事務所の引き抜きの話だけだ。

「海里、引き抜きなんて話、普通の会社でも起こり得る話よ?」

かえって冷静になれた私は、そう彼に言った。

だけど海里は、まったく落ち着く様子はない。

「違うね。権力を大きくしたいだけだ。だから、由香も奪う気でいる。百瀬家の権力も手に入れたいんだよ」

さっきから、やたら『権力』という言葉が出てくるけど、どうしてそこまでこだわっているのだろう。

「それは、海里の誤解よ。お兄ちゃんが言ってたから。結婚しなくても、業務提携できるレベルなんだって。だから、私と智紀の結婚は、本当はそんなに影響のあるものじゃないのよ」
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