はじまりは政略結婚
だけど、彼は首を大きく横に振った。

「違うね。周りはそうは思わない。なあ、由香。嶋谷との結婚なんてやめろよ。だいたい、あのネガはオレは持っていない。写したのは、オレじゃないから」

「え? じゃあ、誰なの?」

海里以外にも、智紀を逆恨みしている人がいるってこと?

ますます緊張が増し、テーブル越しに身を乗り出す自分がいる。

「それは言えるわけないだろ? だから、オレに言っても無駄だよ。売り込んだ相手先は、百輪廻出版とはライバル社だから、相当喜んでたよ。由香たちの結婚が、破断になればいいって」

「そんな……。ひどい……」

企業の損得勘定な考え方は、ある程度理解しているつもりだったけど、ここまで『黒い』部分を晒されるとショックだ。

「それだけ嶋谷も敵が多いんだってこと。だから、由香も考え直した方がいい」

「彼が敏腕副社長ってことよね。よく分かったわ。それに、海里は私を本気で好きなわけじゃない。智紀の邪魔がしたいだけよ」

海里なんて、全然信じられない。

そんな想いで吐き捨てるように言うと、彼は新たに一枚の写真を私に見せたのだった。
< 257 / 360 >

この作品をシェア

pagetop