はじまりは政略結婚
体に糖分を入れたお陰で、ようやくまともな思考回路が復活した。

ランチの後のスイーツまで兄にご馳走になり、かなり気分転換をさせてもらった気がする。

夕方にはマンションに戻ったけれど、兄は急な仕事の呼び出しで行ってしまった。

ひとりになる私をかなり心配していたけど、「大丈夫だから」の言葉で渋々納得してくれたみたいだ。

だけど、ランチのお陰で本当にひとりでも平気だ。

それより、昼間の兄の言葉を思い返せば返すほど、何かが引っかかって仕方がない。

「早く救いたいって、まるで今何かをしているみたいに思えるし……」

そう、いろいろ考えてみれば、プロボーズの断りをすんなり受け入れた智紀にも、拍子抜けした部分もある。

なかなか、嶋谷社長や実家の父に会えないのも不自然だ。

「何か、あるのかな……」

兄や智紀が、あの写真のことについて調べていることとか、掴んでいることがあるのかもしれない。

「それならいっそ、自分でも調べてみようかな……」
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