はじまりは政略結婚
最近、ここでの顔が広くなった私は、慣れない『変装』でやってきた。

といっても、目出し帽を深く被り、髪をひとつに束ねるだけ。

目元が隠れるだけでも、私だとはすぐに気づかれないはずだからだ。

里奈さんに会う前に、智紀と出くわすわけにはいかない。

相変わらず、賑やかな局内を足早に進み、里奈さんの待つ控え室にやって来た。

「百瀬です」

ドアをノックすると、すぐに彼女が出迎えてくれた。

「どうぞ。で?用事って何?」

たくさんの服がラックにかけてあり、いかにもスタイリストの部屋といった感じだ。

半分がレディースもので、残り半分がメンズものになっている。

床には靴が、同じくらいたくさん並べられていた。

「単刀直入に聞きます。里奈さん、海里と何かしてますか?」
< 283 / 360 >

この作品をシェア

pagetop