はじまりは政略結婚
だから、里奈さんに会いに来たのだ。

だけど結局は、智紀に助けられてしまったけれど。

「でも、自分の力では無理だったみたい。智紀、助けにきてくれてありがとう」

もし彼が来てくれなかったら、里奈さんに言い負かされていたと思う。

「何言ってるんだよ。由香のことなら、いつだって当たり前に助けるから」

そっと私の頬に手を触れた智紀は、優しい笑みを浮かべた。

「うん……。智紀、大好き……」

もう一度、智紀の胸に顔を埋め目を閉じる。

私の落ち着ける場所は智紀の側だと改めて感じて、もう二度とこの温もりを離そうとしないようにする、そう決めたのだった。

「オレも、大好きだ。なあ由香。オレのところへ、戻ってきてくれるだろ?」

「うん。私はもう、智紀の側を離れないから……」
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