はじまりは政略結婚
智紀のその愛情は、言葉じゃ足りないくらいに嬉しい。

「私だって、智紀じゃなきゃもうダメだよ……」

どれくらい、彼に伝わっているか分からないけど、できるだけ想いを言葉にしていこう。

そうすればきっと、私たちの気持ちがずっと重なり合う気がするから。

車は軽快な走りで、あっという間にマンションへ着いたのだった。

時刻は0時を回っていたけれど、私たちは部屋へ入るなり、待ちきれなかったように、きつく抱きしめ合った。

「智紀……」

智紀は、ベッドへ横になる私の体を、愛おしそうに愛撫する。

そのたびに、自分でも驚くくらいの甘い声が漏れていたのだった。

「由香、愛してる。どんなに言葉にしても足りないくらいだ」

息が乱れる私を、智紀は強く抱きしめた。
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