はじまりは政略結婚
ダークグレーのスーツに身を包み、エンジのネクタイを締めている。
口角を少し上げて、颯爽と歩く姿はキレイだけど、この意味不明な演出はドン引きだ。
さらに、このホテルには似つかわしくないアップテンポの洋楽が流れてきて、もはや理解不能の行動だった。
智紀が歩く場所は、みんなが道を譲るように移動している。
そして、スポットライトの光が彼を照らし続けていて、ヒーローのお出ましを表現したいのかもしれない。
周りの人たちもア然としているけれど、「これがサプライズなのか」という独り言が聞こえてきて、事前に何かの演出があるとアナウンスはされていたらしい。
「ね、ねえ、お兄ちゃん。智紀ってば、どうしちゃったの?」
横にいたはずの兄に話しかけたのに、その姿はいつの間にか消えていた。
「お、お兄ちゃん⁉︎」
慌てて辺りを見回すも、薄暗いせいと人の多さで見つからない。
その間にも、智紀は余裕たっぷりの笑顔を浮かべながら歩いている。
ーーーそれも、私に向かって。
口角を少し上げて、颯爽と歩く姿はキレイだけど、この意味不明な演出はドン引きだ。
さらに、このホテルには似つかわしくないアップテンポの洋楽が流れてきて、もはや理解不能の行動だった。
智紀が歩く場所は、みんなが道を譲るように移動している。
そして、スポットライトの光が彼を照らし続けていて、ヒーローのお出ましを表現したいのかもしれない。
周りの人たちもア然としているけれど、「これがサプライズなのか」という独り言が聞こえてきて、事前に何かの演出があるとアナウンスはされていたらしい。
「ね、ねえ、お兄ちゃん。智紀ってば、どうしちゃったの?」
横にいたはずの兄に話しかけたのに、その姿はいつの間にか消えていた。
「お、お兄ちゃん⁉︎」
慌てて辺りを見回すも、薄暗いせいと人の多さで見つからない。
その間にも、智紀は余裕たっぷりの笑顔を浮かべながら歩いている。
ーーーそれも、私に向かって。