3秒小説
さんびゃくはち


夏休み中の登校日。


久しぶりに会った友だちの腕に、大きな腫れができていた。


「どうしたのそれ?」


「おととい、すごく大きな虫にね、卵を産みつけられたの」


「・・・え?」


「最初は怖かったけど、いまはなんだかかわいくって」


友だちはそう言うと、優しい目をして腫れをなでた。


腫れが、うごめいた。


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