3秒小説
ごひゃくさんじゅうなな


デパートを歩いていると、小さな子供が走ってきて、わたしのズボンをつまんで言った。


「お母さん、これ買って!」


すると、後ろから巨大な手がのびてきて、わたしの頭をつかんだ。丸太のように太い指で、顔全体をおさえられて、周りが見えない。声が出せない。




わたしはどこかに引きずられてゆく。


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