ヤンキー君と異世界に行く。【完】
「えー、どうしよー」
「どうしよーっ」
「倒す?」
「殺す?」
「「どっちでもいっかあ~」」
どっちも困るよ!!
仁菜がそう思うと同時に、黒い鳥がばさばさと羽ばたきだした。
その羽が起こした強い風圧に、頬が押される。
「うりゃー!」
「とりゃー!」
双子の声が響くと、鳥が青いくちばしを上下に開く。
そして、その奥から……青白い光が、見えた。
そう思った途端、固まっていた仲間たちが散り散りに走り出す。すると……
──ヂュンッ。
(えっ?)
不吉な音がした方を見ると……。
(ひ、ひいいいいっ!!)
まるでレーザービームで焼かれたようなあとが一本、彼らがいたあとの地面に残っていた。
「逃げるの、はやっ」
颯が感心する。たしかに、味方は全員攻撃を避けていた。
よく見ると、傷ついた精霊族のいる地面の下にも、焦げたようなあとが残っている。
(本当にあの子達、敵なんだ……!)
「逃げちゃダメなのー」
「ダメなのーっ」
双子は次々に、彼らを狙って鳥の口からビームを吐き出させる。