ずっと大好き…この恋は永遠…
時計は11時20分を指していて、もうそろそろ帰ろうかと思った時だった。
急に廊下が騒がしくなった。
「503の小田切さん急変ですっ」
そんな声が響いて、看護婦さんがバタバタと廊下を走っていく。
小田切―――…?
急変って…?
「小田切って…」
気がつくと、悟がびっくりした表情でみのりを見ていた。
そして何も答えられないみのりを置いて、部屋を飛び出す。
「あ…」
そんな悟の後ろを追おうとしたのに足が動かなくて…
手をギュッと握り締めたみのりに、沙紀が声をかけた。
「佐倉さん、いいの?行かなくて」
心配そうな沙紀に後押しされて、みのりがびくっと体をすくませた。
「心配なんでしょ?
…行ってきなよ」
優しい声に促されて、みのりが動かずにいる足を踏み出した。
一歩、一歩…
そして、走り出す。
ドクドクと動く心臓を苦しく感じながら、出来ていた人だかりに入り込んだ。
そして人の間を縫うように、病室の中を覗き込んだ。
足が震えて、喉が震えて…
呼吸すら上手くできない。
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