雪の涙
「組長。何ですか?」

親父はすたすたと歩き、自室に蒼龍を入れた。

「蒼龍。調べは着いている。今からする質問に嘘・偽り無く答えろ。さもなくば、この場で切り落とす」

親父は近くに置いてあった刀を取り、刃を出した。

「…組長…?一体何を…」

「お前は彩花と幼なじみらしいなぁ、それには嘘偽りは無いか?」

「は…はい!」

「彩花が鹿塚組なのは知っていたか?」

「はい」

「ならば何故鹿塚組に入らなかった?」

「それは…彩花が俺を嫌ってるからです」

「何故嫌われている?」

「ライバルだから…落ちこぼれだからだと言われました」

「落ちこぼれとは、どういう意味だ?」

「組長は…俺の本当の名前、知ってますか?」

「知らん。それは今の質問に関係あるのか?」

「えぇ、俺の本当の名前は…西國 尚凛(さいごく しょうりん)。西國 吹雪の兄です」

「お前…西國組の息子だったのか!?じゃあ何故葛城組に入ったんだ!!スパイか!?」

「違います!!俺は西國組の長男です。でも、俺には弟がいて、勉強・体術等、全てに置いて弟の方が優れていて、だから、西國組は弟が継ぐんだ。弟が継ぐって決まってから俺は落ちこぼれって呼ばれて…」

「…んじゃあ、次の質問だ。今でも彩花が好きか?」

「…はい…」

「好きだからと言って組を裏切って良いと思ってるのか!!?この世界はそんな甘ったるい根性でやっていけるほと温くはないんだよ!!」

「!!なんで…知って…!」

親父は淋しそうに笑った。

「お前だったのか…。かまかけたんだ。悪かったな」

「くそっ!!こんなのに引っ掛かるなんて…!」

親父は刀の刃を尚凛の首に当てた。

「…っ」

「何故、組を裏切って妹をさらった?それほど彩花が好きなのか?なら何故正々堂々と告らない?お前はもう葛城組には置いておけない。指輪を返し立ち去れ。それが嫌なら今すぐ切り捨ててくれる!!」

「親父!!ちょっと待った!!」

「九代目…」

「何やってんだよ親父!!」

俺は蒼龍の首に当てられた刀の刃を蒼龍から離した。

「こいつは裏切り者だ。仕留めといた方が…」
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