雪の涙
「組長。兄上は明日来るそうです」

「そうか…」

「親父。俺なら居るぜ」

「兄上!!」

尚凛は西國組に戻っていた。

「尚凛。お前に…西國組を任せて良いか?」

「えっ…弟は…?」

「晃は出て行っちゃった。止めたんだけどね…」

吹雪が淋しそうに言った。

「そういう事だ。お前しかいないんだ。頼む!!次期組長になってくれ!!」

いつも頑固な組長が土下座までして頼んで来た。

「…分かった。継ぐよ…ただ、もう少し葛城組に居させてくれないか?」

「…なるべく、早く戻るんだぞ。その指輪も返して」

「分かってます。それじゃあ、今日は葛城組の方に行きます」

「あぁ」


その時葛城組では…

「尚凛遅くないか?」

「そのうち帰ってくるだろ。心配しすぎだ」

「そうか〜?」

コンコン

誰かが門を叩いた音がした。

「誰だ?見てくるよ」

「あぁ」

俺は仲間との会話を止め、見に行った。


「九代目…」

門には尚凛が立っていた。

「尚凛?どうしたんだ?中に入らないのか?」

尚凛は俯いた。

「中には入りません。帰れなくなりそうだから…」

「…尚凛。出てくのか?」
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