雪の涙
「良かったよ。月矢が戻って来て…。でも、お姉ちゃんの復讐はまだ終わりじゃないの」

と、彩花がボソッと言った。

「葛城組の誰かが私達の両親を車で轢き殺したのよ!!」

彩花は持っていたナイフを出した。

「九代目。下がってて下さい」

尚凛は俺の前に立って、そう言った。

「…私は犯人を捕まえるまで絶対に許さない!!でも、月矢を返してくれた事に免じて今日は引くわ」

彩花はナイフをしまって、仲間と去って行った。

「良く分からないけど、大変な事になったわね」

少し離れた所で見ていた吹雪が話しかけて来た。

「あぁ、そうだな」

「とにかく、私達も帰るわ。あと、兄上。組長が会いたいらしいわよ」

「組長が…!」

「組長って、お前の親父さんか?」

「はい…。じゃあ、明日帰るよ」

「そう伝えとくわ。それじゃあ、さようなら。兄上」

吹雪も去っていって、公園には葛城組だけが残った。

「俺達も帰ろうか」

「そうだな」

俺達が帰り始めた時…

「…九代目!!すみませんが先に帰ってて下さいませんか?」

尚凛が呼び止めた。

「どうした?」

「…ちょっと、寄りたい所が…」

尚凛は少し迷ってからそう言った。

「早く帰って来いよ」

「はい!」

この時

俺が止めていれば…

尚凛が戻って来ないなんて思いもしなかった……
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