俺様男子とラブ同居
私は手を引っ込めて、もう一度シャツを羽織った。




「じゃあ…気つけて帰れよ。栗原によろしく……」

「…うん」


慶太はそう言って、私に背を向けて歩き出す。




「慶太…」


私は、羽織ったシャツを握りしめながら…慶太を呼び止めた…

慶太は足を止めて、ゆっくりと後ろを振り返る・・




「ごめんね…ありがとう……」


謝罪とお礼を慶太に言うなんて…

こんなに素直になったのは、きっと子供の時以来……


どうしてだろう…

なんだか、今の慶太には…この言葉を伝えなくちゃいけない気がした…



「・・・」

「・・・」


慶太はしばらく真顔だったが、一瞬だけ優しく微笑んでくれた…






胸が、ドキッと鳴る。

確かに聞こえた…


慶太は一瞬だけ微笑んで、すぐに前を向いて歩いて行ってしまった。



慶太の後ろ姿を見て、なぜだか泣きそうになったんだ…


慶太のことが、好き過ぎて…

大好き過ぎて、嬉しくなった…


それと同時に、なぜだか苦しかった…
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