Blood Tear


既に味覚や幾つかの臓器を失っていると言う。


しかし彼女はそんな様子を一切見せる事はなかった。


只柔らかく微笑んで平然を装っていた。



どんなに苦しくても、悲しくても、辛くても、決して表へは出そうとしない。


誰にも心配をかけまいと、負の感情を押し殺し1人で抱え込んでいる。




 「18歳の頃、神は彼女の成長を止めました。彼女の成長を力の代償としたのです。

いくら年を重ねても、身体は18歳のまま……二度と成 長した姿を目にする事はできないのです……」


治癒の力を使った事による代償…



10年の時を経ても、彼女の身体は成長する事はない。


10年前の時の中に只1人取り残されていく。




 「お嬢様が力を使ってしまうのは、私のせいなのです……私がお嬢様から全てを奪っている……だから私は ーー」


ぼそりと呟くジークはハッとし言葉を止める。


口が滑ってしまったのか、恐る恐るコウガを見下ろすがコウガは前方を見つめたまま。



聞こえていなかったのか、何事もなかったように先を急ぐ。


本当に聞こえていないのか、それとも聞こえていて知らぬふりをしているのか…




 「あ、見えてきた。目指してるのはあそこであってる?」


疑問に思いながらコウガを見つめていると、彼は前方を指差しそう言った。



ジークを見上げて問う純粋な瞳の彼と目が合い動揺しながら彼の指差す方へと目を向ける。




 「そうです。皆さ~ん、後少しですので頑張って下さーい!」


この先に広がる景色を目にし嬉しそうに微笑むと、後ろを歩くレオンとクレアを振り返る。



手を振りながら元気に言うと、足早に先頭を歩きだす。



1人先を急ぐジークはどこか鋭い瞳をし先を見つめて いた。










< 110 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop