Blood Tear


 「今じゃ精神崩壊。心此処に有らずって感じだよ」


 「あんな形で信頼してた侍女を失ったんだ。仕方ないだろ」


 「しかしローグ様も酷いお方だ。あんなやり方はな… …」


不満を抱く彼等だったが、廊下を曲がった所で兵士は言葉を止めた。


驚いたように目を見開き足を止めた彼に疑問を抱きながらもう1人の兵士も彼の視線の先へと目を向ける。




 「ロ、ローグ様!」


視線の先にいた人物を目に彼も同様に目を見開く。


そこにいたのはベイン・ローグ。

黒髪を銀色に染めた鋭い黒い瞳を持つ男性。


フェルノーク国という最近力をつけてきた小国の王であり、スゥール国の王女シェノーラの婚約者である。




先程の話を聞かれたのでは…


そう思い2人は鋭い眼差しのローグを目に硬直した。



冷や汗が額に浮かび生唾を呑む。


心臓は物凄い勢いで脈を打ち、恐怖からか身は震えだす。




 「明日朝一で此処を出る。用意しておけ」


 「……は、はい!」


ローグが口を開いた瞬間、2人は肩を窄ませ目を瞑る。


しかし彼の口から出た言葉は想像していたものとは異なり、一瞬間をあけた後返事をすると頭を下げた。




聞こえていなかったのだろうかと一安心した兵士2人は何処かへ向かう彼の後ろ姿を見送りながらホッと胸をなで下ろした。









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