Blood Tear


夜の屋敷を歩くローグは最上階のある部屋の前で立ち止まり扉を叩く。


部屋の中は灯りが点っている為、人が居る事はわかっている。


しかし返事はない。




ローグはもう一度扉を叩くと鍵のかかっていないその扉を開き、部屋の中へと入っていった。



広い部屋の中には栗色の髪をした女性が1人、椅子に腰掛け窓の外を呆然と眺める。



暗闇で何も見えない外に目を向ける彼女はローグが部屋に入ってきた事に気づいていないのか振り返る事はない 。



そんな彼女に歩み寄るローグは椅子を動かし彼女を自分と向き合わせる。




 「シェノーラ……」


 「……」


膝を付き目線を合わせ彼女の名を呼ぶが、シェノーラは何の反応も示さない。



感情のない瞳で只目の前を見つめ、死人のように動かない。





侍女のリリアを失って以降、心此処に有らずの彼女。



食事も取らず痩せていく彼女を周りの兵士や侍女達は心配していた。










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