Blood Tear
「あの日村を出ていた俺だけが、幸か不幸か生き残 った……どうでもいい、こんな俺がさ………」
ハハッと笑って見せるが、その笑顔は痛々しい…
「何で俺なんだよ……何で俺なんかが……俺だけが生きてんだよ………」
何と声を掛けていいのかわからず、悲しみの色の映る 黄色い瞳から逃げた。
彼をこんな表情にさせたのは、過去を思い出させた自分なのに…
彼と向き合おうと顔を上げた時だった
「!?」
瞳に映るのは水浸しのレオン。
灰色の髪の毛先からポタポタと雫が落ちる。
「どうでもいい奴なんかおらへんねん……生きてて悪い奴なんかおらへんねん……どんな奴でも、生きてるだけで 、それだけでえぇねん……死んだ方がええなんて、そんな悲しい事言うなや……」
レオンを水浸しにした張本人エレナ。
彼女は俯き拳を震わせながらゆっくりと言葉を紡ぐ。
「バーカ……誰が死ぬかよ……」
エレナの言葉にへらへらと笑って見せるレオン。
「俺は死なない…仲間を、大切な物を奪った奴等を追 い詰めるまでは、絶対にな……」
そう言った彼の瞳には、先程の悲しい色はどこにも無か った。
そこにあったのは、何かを決意した輝く瞳。
「?お前、泣いてんのか?」
レオンの言葉に顔を上げたエレナ。
彼女の瞳は潤んでいるように見える。
面白がるように言うと、エレナの額をトンと人差し指 てつつくレオン。
すると、
「……誰が泣くか!お前なんかウチが殺したる!」
頬を赤らめるエレナはそう叫び、レオンにつかみかかるとバシバシと頭を叩くのだった。