Blood Tear
短剣を手放し脱力する彼を見下ろすと、無傷の右目から一筋の雫が伝っていった。
「リオン……」
涙を流す彼に声をかけると、彼は頬を伝う雫に触れ驚きの表情を見せる。
神の遣いと崇めら、普通の人間として生きていけなかった彼は人々の混乱を防ぐ為、悲しみの感情も、喜びの感情も、全てを捨てて生きてきた。
日常のように人々の辛い過去や未来に触れ、悲しみに慣れすぎ涙を流す事を忘れてしまっていた彼。
最愛の、たった1人の家族であるシエンを失った今、彼の心はその傷の深さに耐えきれず、心は悲鳴をあげ涙が溢れ出てくる。
「今は泣け、気が済むまで、泣いていい」
「…ぅっ…うぅ……」
止まらない涙に動揺する彼の頭を撫でると、緊張の糸が切れたのか彼は声をあげ泣き出した。
右からは次々と透明な雫が流れ、左からは血の涙を流す。
「…リオン様……」
遅れてやって来たクレアとジークに援護され、駆け寄って来たイースは目を見開いた。
涙を流す彼を初めて目にし、驚きながらも彼を優しく抱き締める。