風に恋して:番外編
「重くないか?」
「うん、平気……あったかい」

レオはリアの額にキスを落とした。瞼から頬を伝って唇にたどり着く。

「ん……」

リアの手がスルリとレオの背中へと滑って抱きついてくる。

今夜は少しだけ積極的なリア。ここのところ、朝から公務で城を空ける日が多かったから寂しかったのだろうか、などと都合よく考えてみる。

ルカのことを気にして、いつもならこんなに触らせてくれない。それが、今日は……1つに溶け合うところまで許してくれた。

「寂しかったのか?」
「……少し」

やはり素直なリアの言葉に、レオはフッと笑って頭をそっと撫でた。

「そうか。でも……そろそろ寝ないとお前がつらくなる」
「レオ……」

リアの甘えるような視線に、レオはため息をつく。いつもとは意味の違うそれ――いつもなら、レオの気持ちを置き去りに眠ってしまうリアの寝顔を見てため息をつくのに。リアがレオを離さないなんて珍しいことだ。

でも、レオにはリアの気持ちを拒むという選択肢がない。

「わかった……でも、ちゃんと呪文をかけてくれ。ルカを傷つけたくない」

そう言うと、リアはコクリと頷いて小さく呪文を唱えた――楽園への、扉を開けるために。
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