【完】まりあ ~人魚姫の涙~


海岸へと戻った私はすぐに紫色の小ビンの蓋を開け、薬を飲んだ。




私は…、




人間になる事が出来た---




勿論、自分の声と引き換えにだけれど…。




人間の姿になる事が出来た私はその後、何をするでもなくぼんやりと海を見ていた。




これからどうやってルイスを探しに行こうか…、




そう考えていたところで、ルイスがこちらに向かって一人やってきた。




声を出す事の出来ない私にはルイスの名を呼ぶことは出来ないけれど、私の姿を見たルイスはすぐに私の名を呼ぶだろうと期待して待つ。




しかしルイスの口からは、私の名を呼ぶ事はなかった。




呼ばないどころか私を覚えてはいないようで、初対面のように私に振舞ってくる。




そんなルイスの態度にガラガラと自分の中のなにかが崩れ落ちたように感じ、そのままその場で倒れてしまった。




私を城へと運んだルイスは、私は記憶喪失でそのショックから声が出ないのだろうと勝手に思い込む。




そして私の記憶が戻るまで、このお城で暮らすように言ってきた。




記憶喪失はルイス、あなたでしょ?


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