恋するマジックアワー
「海ちゃんに公開告白とか、勇気あるよねぇ、三嶋くん」
「……それどうゆう意味よ」
校門を出たところで、留美子が楽しそうに言った。
笑えない。
だって……あんなみんな見てる場所で……。
『立花海さん、俺と付き合ってくださいッ』
そう言った瞬間の、爆発的な盛り上がり方と言ったら……。
驚いてるわたしなんかお構いなしで、周りの方が騒いじゃって、大変だった。
「三嶋くんって、バスケ部エースでしょ?女子からも結構人気あるし、自信があったんだよね。OKもらえる」
「もぉ、ほんと恥ずかしかった……」
思い出しただけでも顔がアツくなる。
『ごめんなさい』
って断った瞬間、まるで漫画みたいに打ちひしがれた三嶋くん。
それを見て、さらにどっと笑いが起こるあの状況。
ほんと怖い……。
ブルッと身震いして、マフラーで口元まで覆った。
「おーい!立花ぁ、るみー」
「!」
突然背後から声をかけられて、思わずビクリと飛び上がる。
見ると、大きなスポーツバッグを肩にかけた牧野が走ってきていた。
「あれ? 翔、今日部活は?」
「これから」
真っ白な息を吐き出しながら、牧野は留美子からわたしに視線を移した。
「大丈夫か?」
「え?」
思わずキョトンとしてしまう。
目をパチクリさせていると、背の高い牧野がズイっとその顔を寄せてきた。