恋するマジックアワー

「海ちゃんに公開告白とか、勇気あるよねぇ、三嶋くん」

「……それどうゆう意味よ」


校門を出たところで、留美子が楽しそうに言った。

笑えない。

だって……あんなみんな見てる場所で……。




『立花海さん、俺と付き合ってくださいッ』


そう言った瞬間の、爆発的な盛り上がり方と言ったら……。
驚いてるわたしなんかお構いなしで、周りの方が騒いじゃって、大変だった。




「三嶋くんって、バスケ部エースでしょ?女子からも結構人気あるし、自信があったんだよね。OKもらえる」

「もぉ、ほんと恥ずかしかった……」



思い出しただけでも顔がアツくなる。



『ごめんなさい』

って断った瞬間、まるで漫画みたいに打ちひしがれた三嶋くん。
それを見て、さらにどっと笑いが起こるあの状況。


ほんと怖い……。


ブルッと身震いして、マフラーで口元まで覆った。



「おーい!立花ぁ、るみー」

「!」



突然背後から声をかけられて、思わずビクリと飛び上がる。

見ると、大きなスポーツバッグを肩にかけた牧野が走ってきていた。



「あれ? 翔、今日部活は?」

「これから」


真っ白な息を吐き出しながら、牧野は留美子からわたしに視線を移した。



「大丈夫か?」

「え?」


思わずキョトンとしてしまう。

目をパチクリさせていると、背の高い牧野がズイっとその顔を寄せてきた。



< 106 / 194 >

この作品をシェア

pagetop