恋するマジックアワー(仮)


「……あのさ」


聞きにくそうに、上目使いで見上げる洸さん。
見ると、手の中のお粥は、ほとんどなくなっている。


「俺、記憶曖昧なんだけど。海ちゃん何時ごろ帰ってきた?」

「……」



へ?



「……お、覚えてないの? ちゃんと出迎えてくれたよ?」

「断片的には……。海ちゃんが俺の手を引っ張って部屋に入ったところまではなんとなく……」



最後の一口を頬張りながら、洸さんは唸る。


う、うそでしょ……。
という事は、あたしと一緒にベッドに倒れた事は覚えてない、と……。


じゃ、あれは無意識!?

無意識と言うか、もしかしたらあの彼女さんと間違えられた!?



……ありえすぎてツラい……。



軽いめまいを覚え、目の前で取れかけの冷えピタを剥そうとしている呑気な洸さんをジトっと睨む。


ひどい!

乙女の気持ち、かき回して!

本当最低! 無神経! 洸さんのあほー!


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