恋するマジックアワー
昨日のことも、夢なんじゃないかな。
全部全部。
次、目が覚めた時にはわたしたち3人今まで通りで……。
「……ん……」
どのくらい寝たんだろ……。
窓から差し込む日差しは変わらないように見える。
洸さんがくれた薬のおかげで、少しだけ楽になった気がする。
もう少し寝ようと寝返りをうったその時、枕元のスマホが目に入った。
重たい腕を伸ばして、それを確認すると着信が4件、メッセージが3件。
……留美子からと、牧野からも着信が入っていた。
心配、させちゃったよね……。
わたし、『先に帰るね』ってメッセージ送ったきり、何も言わず帰ってきちゃったから。
どうしても、ふたりの前に出ていけなかったんだ。
昨日の夜と、それから、今日の朝。
ほんの20分前にも、留美子からわたしを心配する内容のメッセージが来ていた。
返事、しなきゃ。
そう思って画面をタップした、その時だった。
また、スマホが震えた。
えっと……
ええええっ!!?
ガバッと勢いよく起き上がり、慌てて部屋を飛び出した。
「こ、ここ、洸さんッ!!!」
リビングでコーヒーを飲みながらパソコンをいじっていた洸さん。
わたしがいきなり出てきたもんだから、ビックリしたように、その肩を震わせた。
「……え、なに」
「ど、どうしようッ」
「だからなにが」
きょとんとして瞬きを繰り返す洸さん。
片眉をクイッと持ち上げて、持っていたコーヒーカップをテーブルに置いた。
わたしはそんな洸さんのシャツをガッと掴むと、それをグイグイと引っ張った。
泣きそうな顔で……。
「る、留美子が……、ここに来るッ!!!」
「え」