恋するマジックアワー

「風邪引いちゃってたんだね……。それなのにこんなふうに突然おしかけちゃってごめん」


ベッドに座るわたしの横で、留美子は申し訳なさそうに俯いた。


「大丈夫。もう大したことないから」

「……ほんと?」


頷いてわたしが笑うと、留美子は小さく息を吐いた。


「でも、驚いた。海ちゃんち来たら、いきなり男の人が出てくるんだもん」


ドキ!


き、来たなその話。

思わずゴクリと生唾を飲みこんだ。
なんて言おう。

って、別になにもやましい事してないし。
留美子になら本当の事を言ってもいいような……。


瞬時にそんな事に思いを巡らせていると、コンコンとノックの音がしてドアが開いた。

ヒョコっと顔を覗かせたのは、洸さんだ。

その手には、小さな一人用の土鍋が乗っていて。
ユラユラと湯気が立ち登っていた。


「海、腹減ったろ。お粥作ったけど食う?」

「え、食べる」


お粥、作ってくれたんだ。
嬉しい。 誰かが作ってくれる料理なんていつぶりだろう。

……ん? えッ!!?

洸さんあたしの事


 
海って呼んだ!?
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