恋するマジックアワー


迷ったあげく、この部屋の主が帰ってくるのを待つことにした。


勝手に開けて、もし違ったら失礼だもんね。



うん、待ってよ。


キョロキョロと部屋を見渡して、ソファに腰を落ち着けた。

肩にかけていた鞄をとって、そっと体を沈めた。



はあ……疲れた。

新しい環境に飛び込むって、こんなに疲れる事なんだ。



鞄からスマホを出すと、一通のメッセージが来ていた。

それはパパからで。
内容はわたしの無事の確認だった。


家を出てからまだ2時間くらいしかたってないのに。



【まだ愛さんには会えてないよ。 大丈夫、無事につきました】



送信っと。


スマホをソファの前のガラステーブルに置いて、窓の外を見た。

3階にあるこの部屋からは、空が一段と近く見えた。


< 7 / 194 >

この作品をシェア

pagetop