だから、恋なんて。

ほら、そうやってヘラヘラしないで普通の顔してたらちゃんとした医者に見えるじゃない。

顔のつくりは悪くなくて、背もそこそこ高くて、太ってもなく痩せすぎてもない。

半袖のオペ着からのぞく二の腕は、トレーニングでもしているかのように筋肉が浮き上がっている。

おじさん医者が着るとなんとも野暮ったい上下緑のオペ着を、なぜだか爽やかに着こなす男に不覚にも視線を奪われていて。


「ちょっと、ねーちゃん」

背後から聞こえる野太い声に我に返る。

「はい?」

慌てて視線を外してくるりと身を返すと、自分の受け持ちではない隣のベッドに横たわるガラの悪そうなおじさんがこっちを見ている。

隣と言っても普通の病室ほど隣接してないベッド間隔なので、数歩近づかなければベッドサイドには行けない。

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