だから、恋なんて。
直人さんは、意外と繊細だったらしい。

それはきっと千鶴がいなくて普通の生活もままならなかったってことで。

千鶴もこうなってみてそれを実感しているのか、なんだか少し照れくさそうで。

結局はやっぱり早く家出を終了してよかったってことなんだと思う。

「別に悪いとこなんてないんだけどさ。今日は病院に一泊するから、付いてようと思って」

「うん。そのほうがいいよ」

「うん、ありがと美咲。また連絡するわ」

そう言って電話を切った千鶴の声は、なんだか吹っ切れたようにも思える。

結局、何が喧嘩の原因だったのかはわからない。

聞いていいものかもわからなかったから、いつも通り、言わないものは聞かないでいた。

でも、それで本当によかったのかとも思っていて。
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