だから、恋なんて。


「あ、誰かいるんじゃね?」

「え~じゃあ、どうするぅ」

静かな公園に突然聞こえた高校生らしきカップルの声。

もちろん突然現れたわけじゃないんだろうけど、完全に油断していた。

どうするぅとか言ってたわりに、やっぱり公園内に入ってくる若者達には、私たちのこのビミョーな空気は全く関係なく。

ブランコからほど遠くないベンチに二人で腰掛ける。

さすがにそこまで近いと、顔まではわからなくても制服を着ているのはわかる。

ということは、あっちからも私たちが高校生じゃなくてれっきとした大人だとわかるということで。

「………」
「………」

やりにくいことこの上ない。

たまらず視線を上げると、何故か医者も俯いていて視線は絡まない。

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