だから、恋なんて。
うん、三十六になっても軽く酔ってる女子は可愛いもんだね。
これがいつの間に見苦しくなってしまうのだろう。
そんなどうでもいいことを気にして、部屋で一人ビールをあおることが格段に増えていく気がするのは気のせいで
はないはず。
自分は酔ってないと主張し続ける雫を、とりあえずタクシーに乗せて、運転手さんが女性だったのをいいことに、そのままお願いする。
もうすっかり涼しくなった秋の夜風が頬をなでる。
いつもなら翌日の仕事のためにさっさと帰ろうとする千鶴が、今日は私と歩幅を合わせてゆっくりと歩く。
聞いてみようか…、家出の理由。
俯き加減で歩く千鶴も何か言いたそうに見える……のは、私の思い過ごしかもしれないけど。