だから、恋なんて。
「そんなの…千鶴の所為じゃ」
「うん、直人もきっとそう言ってくれたと思う。子供ができなくてもいいって、そんなこと気にするなって」
「そうだよ。だって千鶴、調べたわけじゃないんでしょ?できないって決めつけなくても…」
「そんな簡単に調べられるわけないっ。だって、もし本当に私の所為で子供ができないんだったら?」
「でも、わからないでしょ」
「じゃあ、もしできたとして、子供に何か問題があったら?」
「問題って…」
「問題なかったとしても、もし、前の奥さんとの子供と比べたりしちゃったら?」
「そんなことしないでしょ」
「わかんないじゃないっ」
いつの間にか大きな声で話してした私たちの隣を、チラッと見ながらスーツ姿のサラリーマンが通り過ぎる。