だから、恋なんて。
それでも少しずつお腹が満たされてくると、今度はお酒を飲みながらまったり話し出す人たちも出てきて。
師長なんか、顔を真っ赤にさせながら両隣に座るドクターと看護師相手になにやら訴えているし、若い研修医なん
かおばさま達に囲まれて顔を引きつらせながら質疑応答している。
「あ~、私もう限界っ」
端のほうのテーブルから注文を終えてきた榊は、自分が食べたかったはずの串揚げを、まだ数本しか食べられていない。
「私たちも食べよっか」
満足に食べられていないことに少し拗ね気味の榊が可愛くて、クスクス笑いながら一緒に元の席に座って、二人だけで乾杯する。
これが幹事の辛いところ。くーっとシュワシュワの苦みで喉を潤したいけれど、そこは我慢して目の前の串揚げに集中して。
「あ、コレ美味しい!」
「あ~、ササミかと思ったら魚だった…」
「ん、榊、コレも美味しい!大福だけど」
「えっ?もうスイーツですか。しかも揚げた大福……」
魚介や肉、野菜だけじゃなくて変わり種もあって、榊と共にどんどん箸が進む。