だから、恋なんて。

そして、宴会が始まってからすでに一時間が過ぎようとしていた時。

端に座っていた私のすぐ真横の襖が勢いよく開いた。

「遅れてすいませ~ん!」

ひょこっと顔をのぞかせて軽く頭を下げる顔を見て、少しだけホッとして、それから苛立つ。

「お~、結城先生!主賓がこんなに遅れてきちゃ困るよ~…ホイ、駆けつけ三杯な」

「ほんと、申し訳ないです。でも、少しは褒めてくださいよ」

遠くの師長に声をかけられ、靴を脱いで上がりながらもグイッと外にいる誰かの手を引く。

「じゃ~ん!青見先生も連れてきました~」

「…お疲れ様です」

え、青見先生?参加人数にも入ってなくて、こんな関係のない飲み会には顔を出さない青見先生?

っていうか、連れてきました~ってほど仲良かったの?

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