だから、恋なんて。
「青見先生の事……気になる?」
ぼんやりとみていた視線を遮るように、首を傾げて私の正面にチャラ医者の顔が迫る。
「ちょっと!近いっ」
両手でぐいっと顔を押しのける。
柔らかいアイツの髪がフワッと額に触れた気がした。
間近ではっきりと見えたアイツの睫毛と茶色がかった瞳に。
……一気に顔が熱くなる。
「…トイレ行ってくる」
アイツの顔は見れずに、そのまま鞄を持って席を立つと同時に襖を開ける。
何やってるの、私。
四十路のオンナがこんなことくらいで顔を赤らめて、逃げるようにトイレに立って。