だから、恋なんて。

なんでこういうことをサラッと受け流せないんだろう。

冗談だとわかってても、どの女の子にもそうなんだってわかってても、いちいち過剰に反応してしまう自分が嫌になる。

男慣れしてないってバレバレだし。

あっちはいろんな女の子に気軽にスキンシップ取って、にこにこ笑顔を振りまいているのに。

いい歳してほんと、嫌になる……。

ため息を吐き出して顔をあげると、店内はさすがに金曜日だけあってどの席も埋まっている。

襖のこっち側もかなり盛り上がってたけど、迷惑になるくらいうるさくないみたいでよかったと胸をなでおろす。

縦長の店内を突っ切り、反対の隅にあるトイレに入って鏡の前に立つ。

…うん、いつもの私の顔、のはず。

< 232 / 365 >

この作品をシェア

pagetop