だから、恋なんて。

片手をジョッキに添えたまま身動きの取れない私をおいてけぼりにして、周りはワイワイガヤガヤとホントに騒々しい。

こんなに騒がしくちゃ、テーブルの端と端でもすでに会話は不可能で。

そう思い至ると私が青見先生と喋ろうが、後ろを振り向こうがどうでもいいような気がしてきた。

そうだよ、なんで私がアイツの目を気にしたり、アイツの事を気にしたり、青見先生を避けてないと態度に表したりしないといけないのよ。

そもそも私は誰と付き合ってるわけでも、医者と付き合いたいと思ってるわけでもないんだし?

ていうか、むしろ医者なんてこっちからお断りだし?

そんなことを考えている私の鼻の穴からはフンフンッと荒い鼻息が出てたかもしれない。

四十路に鼻息って………オンナという属性からはみ出してない?

< 236 / 365 >

この作品をシェア

pagetop