だから、恋なんて。
「結城先生と付き合ってるんですか?」
…ん?
今、確か、横からこっちに向けて声がした……?
恐る恐るうかがう様に隣を見るけど、声がしたほうには涼しげな顔でグラスに口をつける青見先生しかいなくって。
その目は私のほうなんて見ていないし、私に気が付いているのかさえわからない。
そら耳か…な。これだけうるさいからね、まさか青見先生がそんなこと…。
「他の男と話しちゃダメとか?」
「はい?」
うん?他の男とって?
「なんの…話ですか?」
グラスを持ったまま首を傾げる青見先生の視線は、今度はまっすぐに私を捕える。
その瞳は面白い玩具を見つけたようにワクワクしていると思えば、フッと緩められて潤んだようにもみえる。
もしかして、結構酔ってる…?