だから、恋なんて。

なんだ、冗談だったのか………でも、アイツが来る前に青見先生が言ってたのって…。

チラッと青見先生を見ると、たまたま視線を上げた先生の視線とぶつかって、意味ありげな笑みを返される。

勝手にドキドキと脈拍が増す気がして、誤魔化すようにウーロン茶を飲む。

「先生、いい加減美咲さんで遊ぶのやめてくださいね?」

「ん?そうだねー?結城先生、敵に回すとやりにくくなりそうだしね」

「じゃ、そういうことで」

なにやら勝手に話をつけた榊は、両先生にビールジョッキを持たせて乾杯させると、「もどりましょう」なんてニッコリ笑って私を促す。

「え、ちょ、さかき?」

「もうそろそろシメの串を食べないと」

「あ、うん」

はいはい、と背中を押されて元いた座敷の隅っこに腰を下ろす。

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