だから、恋なんて。

「……ッ、ちょっと二人とも!なんなんですか、その動揺ぐあい」

テーブルをドンドンと叩きながら可笑しくて堪らないというように声を震わす雫は、どうリアクションしていいかわからない私たちを代わる代わるのぞき込む。

「中途半端なツッコミが一番やりにくいんですけど?」

腕を組んでいるけどにこっと笑う雫に、私たちも顔を見合わせながら少しずつ口元を緩める。

「千鶴さんも、美咲さんも……さ、飲んでください?」

にーっこり笑ったままの雫は、お酒が並々と注がれたグラスを目の前に掲げる。

その瞳は弧を描くように細められているけど、その瞳の奥は笑っていないような……気がするのは思い違いではないはず。

「「い、いただきまーす…」」

ここは潔く杯を乾かすべきだと悟ると、申し合わせたように二人で思い切りよく喉に流し込む。

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