だから、恋なんて。

最初はちゃんと警戒してたつもりだったんだけどな。

アイツのやたら馴れ馴れしい性質に、こっちが巻き込まれて、勝手に舞い上がって、勝手に好きになっちゃっただけなんだもんね。

なんだろう、この空虚感。

なにが変わったわけじゃないのに、身体の支えが消えてなくなったように重い。

別に何も変わらない。

今さら、ほんとにもう今さら。よりにもよって、今さらよ。

不思議なもので、そんなことをぐるぐる考えながら目を閉じていると、ゆっくりと睡魔が襲ってくる。

寝過ごさないようにと、習性で素早く携帯で目覚ましをセットして、そのままソファに横になる。

朝一番で、アイツの緊張感のない顔を見ておきたいな。

そんな想いだけが一瞬頭の中を揺らいで、そのまま少しの仮眠をとった。

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