だから、恋なんて。
「う~ん……それって、昨日鎌田が当直だったこと?それとも、噂のこと?」
答え難そうにしているわりに、開き直ったように言い当てられる。
「……どっちも知ってたんだ?」
あまりにも穏やかな声に、チラリとその横顔を盗み見ると、いつもよりも真剣な瞳にぶつかった。
しまった、でも、どうしよう、でもない。
しいて言うならば、仕方ないなぁとでも言いたそうな表情。
もっと私、傷ついていいはずよね?もっと逆上して、責めたっていいはずだし。
ズルいよね、ほんと。
そんな顔されてたら、こっちだってどうしたらいいかわからない。
もっと大慌てで、必死で取り繕って欲しいのに。
「あ~あ、もうあの噂の呪縛から逃げられたかと思ってたんだけどな。だって何年も経ってるじゃない?」
あまりにも想定外で、ちょっと自虐的な言葉で無理矢理明るく取り繕う。