だから、恋なんて。

驚いて向き直ると、照れたようにガシガシと頭を掻いて、天を仰いで呟く医者。

その隙間からのぞく顔は、心なしかほんのり赤いような気がする。

ちょっと、ほんとにそんな反応ズルいんだから…。

「う、裏目って…なによ」

「だからさ、結構マジで、普通にアプローチしてたつもりなんだけど、俺。それが伝わってなかったのって、こう色々と小細工してたからだろ?」

「う…ん、まぁ、全然伝わってないわけじゃないけど…」

「ほんとっ?」

「あー……、うそ。ほとんど伝わってなかったっていうか……まさか、そうだとは思ってなかった…かな?」

一目惚れ、だなんて、恥ずかしくて口にも出せない。

チャラチャラしてるだけの適当な医者だと思ってたのに、私に一目惚れして、おまけに色々試行錯誤してたなんて…。

嬉しいやら恥ずかしいやらで、どうしていいかわからない。

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