だから、恋なんて。
お互いがなぜか気まずいような、恥ずかしいような空気の中。
その静寂を破る救世主のように、ピリリリリッとチャラ医者のポケットでPHSが震える。
って、そうじゃん!コイツは普通に勤務中だったんだ…。
自分が仕事終わってるからって、コイツもそうじゃないし。
あー…ほんと、あり得ない。
こんな色恋沙汰で勤務中の人間を引き止めてるって、いい歳した看護師がすることじゃない。
やたらと焦る私を、またあの穏やかな瞳で苦笑しながら見つめたままの医者は、「わかりました、行きます」と言って通話を終了する。
「ごめんっ、なに?どこ?外来?なんか、話長くなっちゃって…」
そんな私をクスリと笑って上から見下ろす医者は、次の瞬間には私の腕をグイッと引き寄せた。