だから、恋なんて。

今となっては、いくら避けられるのが気分悪かったとしても、腕をつかんでまで言うべきだったのかと疑問にも思う。

それとも、私が慌てて動こうとした所為で倒れそうだった椅子と共に、私も倒れそうだと支えてくれただけだったのかもしれない。

榊も聞くだけ聞いといて、興味なさそうに「それだけ?気にしなくていいんじゃないです?」と言っただけだった。

その後は榊なりに四十路の祝いをしてくれようと思っていたのか、小さなケーキを買ってきてくれていて、深夜にもかかわらず有難く頂戴してしまった。

まったく、ツンデレにもほどがある。

ん…?なんかこれって雫の言う関係性…?


「ちょっと、なに考え込んじゃってるの?オトコ?オトコ?」

どんどんペースを上げている千鶴は、どうしてもそっちの方向に話を持っていきたいみたい。

若いころは女子会といえば恋の話が大半だったけど、この頃はそれに仕事の愚痴や時には体の不調なんかも追加されてくる。

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