だから、恋なんて。

「ねぇ、千鶴さん。今の店員さんってあのバンドのドラムに似てませんでした?」

「そうそう!私も思ってた!まさか本人じゃないだろうけど、弟とかならあり得そう」

「ほんとですね。私この間も弟に命令されて行ってきたんですけど…」

なにやらバンドの話に突入した二人は、私のことなんか全く無視で。

その店員さんの顔もちゃんと見てなかったし、バンドのことなんかさっぱりわからない私は、早々に諦めて野菜スティックをかじる。

元々この二人は同じジャンルの音楽が好きとかで仲良くなった。

落ち着いたR&Bなんか聞きそうな雫は、弟がバンドをやってるとかで、無理矢理ライブに連れていかれるうちに好きになったそう。

千鶴のほうは高校のときなんか自分でバンド組んでたっていうから驚いたのなんのって。

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