山神様にお願い


 急いで下着を探して、遠くで見つけて取りに行こうとしたけど、足に力が入らずに一歩も進めなかった。・・・・ひょえええええええ~!

 よおお~く見たら、胸元には無数のキスマーク。ひょえええええええ~!!

 振り返ってお休み中の店長の綺麗な体には、赤いミミズ腫れ・・・。これ、私がひっかいた、のだろうねえ~・・・。今までの乏しい恋愛体験では覚えがないけど、店長が自分で身体を引っ掻くとは思えない。ってことは、私・・・。ひょええええええええ~!!

 だ、ダメだ~、何てことだああああ~!

 焦った私は半泣きで、何とか体を引っ張って、下着のところまで這いずっていく。パンツだけでもはいて、次は自分の着てきたシャツを探したけど、そこでまた泣けた。

 ・・・シャツ、着れないじゃあああああん~・・・・。

「う、嘘嘘嘘ぉ~・・・」

 びりびりですよ、びりびり。もしくはボロボロ。表現は好きな方をどうぞ!はい、ありがとね!やけくそで一人で問答する。

 ボタンは半分以上取れてるし、袖、破けてます・・・。どうして普通に脱がしてくれなかったのだろうか。

 ガックリと肩を落として、とりあえず店長のTシャツをそのままで着た。ブラが見当たらない。どこに飛ばされたのだろう。うそ~、そんなの他の人に見付かったら恥かしくて、それだけで死ねる!

 ほぼ完全に抜けているといって間違いなしの下半身をずるずると腕の力で引っ張って、私は森の中で自分のブラジャーを捜索していた。

 シクシクシクシク・・・・。心の中の風景は、まさしく崩れ落ちて突っ伏して泣く私の映像だ。

 平常心を取り戻すには、まず自分の身なりを整えることだと思っていたけど、それすら難しいとは!何てこったい。


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