山神様にお願い


 ぐっと詰まった。実際、私はそんな計画をたてていたのだから。

「だからブラは隠しておこうと思ってね。上半身裸で帰れないだろ?」

「ひ・・・酷いです~!」

 シャツを破いた上、ブラ隠しまで計画的だったとは!くうう!

 私はまた浮かんでくる涙を拳で拭う。今日はほとんど化粧もしてなかったけど、きっと真っ赤で酷い顔だろう。

 にやにやと心底嬉しそうに、店長が笑った。

「うーん、可愛いなあ、シカ坊。やっと抱けて、俺がそのままで逃がすと思う?」

 ・・・は?

 耳が捉えた不穏な言葉に、私の全身にトリハダがたつ。

「・・・え。まだ・・・ま、まだ何かあるんですか!?」

 よっこらしょ、店長が起き上がって、立膝をして背中を壁につける。その寛いだ格好でニコニコと笑って言った。

「次は正常位で抱きたいんだよねー。シカのイく顔、ちゃんと見たいからさ~」

 ひょええええええええ~っ!!

 私は断固として首をブンブンと振った。

「ダメです!いけません!お断りします!!」

「・・・即答だなあ。さっきは逃げなかったのに、どうした?」


< 176 / 431 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop