山神様にお願い
私が伸ばした手をヒョイと避けて、寝転んだままで店長は私のブラをくるくると回す。
ま、ま、回さないでぇぇ~!飾り気のない白いブラが森の中で舞い踊る、それはそれは未経験のこっ恥ずかしい光景だ。だって、なーんの変哲もない、所謂勝負下着ですらない私のシンプルなブラが(しかもカップだって大きな声では言えないサイズ)!!私はべそをかきつつ店長ににじり寄った。
「そっちが先でお願いします!私のシャツ引き裂いたの誰ですかあああ~っ!!」
「・・・俺だね。だから、ちゃんと聞いたでしょ?汚れていいように着てきたのかって。そしたらシカが、古着ですって言うから、じゃあ破れても問題ないよな~って思って・・・」
「問題でしょうっ!!私どうやって帰るんですか!」
汚れていいとは言ったけど、破いていいとは言ってないでしょ!私はその場で両腕をブンブンと振りまわす。
「俺が送っていくよ。Tシャツも店のやつ貸してあげるしさ~」
「と、とりあえずそれ返して下さい!」
「ダメ」
へっ!?私は動きを止めて店長を凝視した。だ、だだだ・・・ダメって何よ、ダメって。それ、私のなんですけど。
ニヤニヤといつも私をからかうときの笑顔をして、店長が小声で言う。
「まず、起きたら服を着ると思ったんだよねー、シカのことだから。それで、俺を起こさずに帰っちゃうのではないかとね」