山神様にお願い
阪上家のご両親は好きだった。あんな常識的で丁寧な親御さんから、どうやったらこの悪魔のような男の子が産まれるのかで、私は3年間何度も悩んだものだった。
私の返事に彼はにっこりと微笑む。
「母さんもセンセーを気に入ってたよ。だからさ、嫁に来たら?」
「は?」
「僕たち、結婚しようよ、センセー」
「――――――――」
――――――――――――プロポーズですか、まさかでしょう!私はバカみたいに口をあんぐりと開けて彼を見た。
目の前で阪上君はニコニコと微笑んでいた。その笑顔、その外見だけを見れば本当に格好の良い男の子で、しかもこれからもきっといい男からいいおじ様になるのだろうなあ~!と思うような力というか、オーラみたいなのがあった。
だけど、言ってることが極端なのよ、君は!
私は額に片手をついて、痛む頭を休ませる。
ああ・・・・眩暈が。
「ねー、はい喜んでって言って」
私はファミレスの店員ですか。
「・・・言いません」
「仕方ないなあ、じゃあ、はいだけでもいいよ」